July 5, 2023


  無機化学1・レポート課題13(提出期限・7/07(金):提出先・A13棟1階・レポートボックス)
 


 二酸化炭素 CO2 は直線型構造の分子である。その炭素−酸素結合距離は1.160Åと、通常の炭素−酸素結合距離と比較して明らかに短く、多重結合性を帯びていることが実験により明らかにされている。1) 以下の問いに答えよ。
 

(1)

以下の例に倣い、CO2 分子のMOの定性的なエネルギー準位図と基底状態における電子配置、AOの重なり合いの様子およびAOの重なり合いの型を示せ。結論に至る考え方の筋道を明快に記すよう特に留意せよ。

(2)

(1) を基に、CO2 分子の炭素−酸素結合が多重結合性を有することを説明せよ。
 

(3)

水溶液中で CO2 分子は水酸化物イオン OH- と反応して炭酸水素イオン HCO3- を生成する。2) この反応では、水酸化物イオンが CO2 分子中の炭素原子を求核的に攻撃している。水酸化物イオンは、なぜ CO2 分子中の酸素原子ではなく炭素原子を求核的に攻撃するのだろうか。(1) をふまえて考察せよ。
 

【注】

1)


2)
たとえば、エタノールの炭素−酸素間結合距離は1.41Åであり、ぎ酸の炭素−酸素結合距離は1.34Åおよび1.20Åである (ただし、1Å(オングストローム) = 10-10m)。

PH>10の条件下でこの反応はゆっくりと進行する。生じた炭酸水素イオンは水酸化物イオンとすばやく反応し、炭酸イオン CO32- と水が生成する。